葬儀
知識
2023/12/18
末期の水とは?込められた意味と手順・作法について解説
今回は葬儀の儀式の中のひとつである「末期の水」について紹介します。
末期の水の由来から具体的な手順、各宗教の違いなどを理解して、故人を送り出せるようにしましょう。
【目次】
■末期の水とは?
・末期の水の由来
・末期の水を行う意味は?
■末期の水のタイミングや場所は?
■末期の水の手順・作法
・末期の水に必要な道具
・末期の水の手順
・末期の水を行う人の順番
■宗教別における、末期の水の違い
・神道における末期の水
・キリスト教における末期の水
・浄土真宗における末期の水
■末期の水は故人への想いを込めて
末期の水(死に水)とは?
そもそもこの「末期の水」ですが、「まつごのみず」と読みます。
(「まっきのみず」ではありませんので注意しましょう。)
また、別の言い方として「死に水(しにみず)」という場合もあります。
末期の水は、臨終を告げられた人や、逝去した直後の人の口に水を含ませる儀式です。
本来は逝去の直前に行われる儀式でしたが、最近では逝去後に行われることがほとんどです。仏教以外の神式葬儀、キリスト教のプロテスタントでも同様の儀式が行われます。
末期の水の由来
末期の水の由来は諸説あります。ここでは仏教における有名な説について紹介します。末期の水の由来は、お釈迦様の入滅に関する故事に由来するものです。
お釈迦様は入滅の前に食中毒に苦しみ、喉が渇いたので、弟子に水を汲むようにいいます。しかし近くの川の水は濁っていました。そこで弟子は遠くまで水を汲みにいこうとするのですが、お釈迦様は近くの川の水を飲むことを願いしました。すると、雪山に住む鬼神が「浄水」を捧げました。この浄水がお釈迦様の最後の飲食物になったという故事に由来する説があります。
末期の水を行う意味は?
末期の水を行う意味としては「故人が水を飲むことで、息を吹き返してほしい」、「息を吹き返せないのであればせめて、あの世で喉が渇かないようにいてほしい」という願いや感謝、労いの気持ちを込めたものと言われています。末期の水を行うタイミングは?
末期の水のタイミングについて、本来は「逝去の直前」に行うことが一般的でしたが、現在は逝去後に行います。この逝去後に行うタイミングは、主に2つあります。
1つ目は、医師がご臨終を告げてから、そのまま病室で執り行う場合です。
この場合は、看護師が案内をしてくれて行います。しかしこの場合は、親族が揃っていない可能性があります。末期の水は、逝去後の最初の儀式になります。親族の中には葬儀の最初から最後まで、故人をきちんとお見送りしたいという人もいるので、親族全員が揃っていないのであれば、病室で執り行うのは控えるのが良いかもしれません。
2つ目は、自宅や安置所などで行うケースです。病院によっては、逝去後すぐに病室を空ける必要があります。その際は故人を自宅や葬儀社の安置室などへ搬送します。その搬送先で親族などを集めて、末期の水を行うのです。この安置先で行う場合は、葬儀社が案内してくれることが多いです。
末期の水の手順・作法
ここでは、末期の水の具体的な手順や作法について紹介します。
末期の水に必要な道具
末期の水に必要な道具について紹介します。宗教や地域によって異なることがありますので、ここでは一般的なものを紹介します。必要なものは、脱脂綿とお水と箸の3つです。水を入れる容器は、故人が生前に愛用していたものを使用する場合があります。また、看護師や葬儀社が準備をしてくれるケースもあるので、事前に病院や葬儀社に相談してみてください。
末期の水の手順
まずは、脱脂綿に水を湿らせます。その脱脂綿を、故人の唇に優しく触れて、最初に上唇を左から右になぞり、次に下唇も同様に行います。ここで終わる場合もありますが、故人の顔を拭く場合もあります。
故人の顔を拭く場合は、はじめにおでこを左から右になぞり、次に鼻を上から下になぞったら、最後に顎を左から右になぞります。
末期の水を行う人の順番
末期の水は行う人の順番もあります。まずは喪主から行い、次に故人との関係性から順番を決めます。
一般的に、故人の配偶者、その子ども、故人の両親といった順です。次に、故人の兄弟、故人の子どもの配偶者、その次に孫の順番に行って、最後にいとこや、その他親族の順番となります。
宗教別にみる、末期の水の違い
前述の通り、末期の水は仏教の葬儀で行っていました。しかし、他の宗教でも行う場合がありますし、逆に仏教でも行わない宗派があるので、覚えておきましょう。
神道における末期の水
神道の葬儀は「神葬祭」といいますが、神葬祭でも末期の水を行います。これは、神道では、ご逝去を穢れ(けがれ)として考えています。その穢れを祓い清めるという意味で、末期の水を行うのです。神道では通常の末期の水との違い、脱脂綿(ガーゼ)ではなく、榊の葉っぱを使用します。
キリスト教における末期の水
キリスト教はカトリックとプロテスタントがあり、それぞれで異なります。カトリックでは末期の水を行いませんが、プロテスタントでは末期の水に該当する儀式があります。逝去後、牧師が故人にパンとワインを与える儀式があり、これが末期の水に相当します。
浄土真宗における末期の水
浄土真宗の場合は、末期の水は行いません。その理由として浄土真宗は「逝去後すぐに成仏する」という考えがあるからです。末期の水は「死後飲食に困らないように」という願いが込められていますが、すぐに成仏する浄土真宗の教えに基づくと「極楽浄土では、飲み物にも困らない」と考えるため、末期の水は必要ないと考えるためです。ただし地域によっては、葬儀の慣習として末期の水を行うこともありますので、浄土真宗の場合は、事前に葬儀社や宗教者としっかり確認を取るようにしましょう。
末期の水は、故人への想いを込めて
今回は末期の水の由来から具体的な手順まで紹介しました。
葬儀の経験がなければあまり聞きなれない言葉ですが、その由来や意味を知ることで形式的ではなく気持ちを込めて行えるのではないでしょうか。末期の水を行う機会が訪れた場合はぜひ、故人の最後を感謝と労いの気持ちで執り行いましょう。
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